感性を磨く

今年も残すところあと少し。皆さまにとってもお忙しい時期かと思いますが、私達が暮らす滋賀県湖北地域は、関西のなかでも豪雪地帯という事もあり、雪への準備に慌ただしい時期が来ております。

今でこそ衛星技術を使った天気予報があるおかげで、台風や大雪などの事前対策が容易になりましたが、昔の人々は各々が空を見て雲の動きを調べ、風や空気の温かさや冷たさを感じながら、天気や環境の変化を敏感に捉えて生活されていた事を思うと、改めて凄いなと尊敬しております。

今は良くも悪くも、「データ・データ・データ」の世の中で、人の感性を発揮する場面が少なくなっているようにも感じます。ある治療院の先生が以前こんな事をおっしゃっていました。

「エビデンスは?という言葉を使いたがる人は感性が磨けてないんだよ」

先日、私の元にもなんとも言えない電話がありました。弊社の商品を初めて使ってくださった治療家?の方なのですが、

治療家の方「おたくの商品は本当に素晴らしいですね!この商品にはどのようなエビデンスがあるんですか?」

私「ありがとうございます。あ、いや、エビデンスは特になくて、ただ治療家さんに便利な道具は何か、そしてそれが結果的に来院される方の健康に繋がれば良いな、という事を考えて製品を作っています。」

治療家の方「それじゃあ、この製品が何に良いか、効くのか、エビデンスは無いんですか?」

私「あくまで道具ですし、そもそも、商品を素晴らしいと感じてくださっているってことは、患者さんが喜んでおられたり、結果が出ているってことですよね?それがエビデンスかと・・・」

治療家の方「じゃあ、製品をエビデンス無しに適当に製造されて販売されているってことですね。もういいです。」

と言って一方的に電話を切られました。

そもそも会話がめちゃくちゃなのですが(笑)、一部のお医者さんや治療家の方が「これに効く薬」「これを治す医療機器」をただ提供するだけの作業になってきている傾向なのかなと思います。

私が仲良くさせて頂いている治療家の方々はみな、環境、場所、時間、体調、季節など、その方のすべての背景を想像しながら、道具を変え方法を変え、セッションのように治療されているアーティストのようで、まったく違うレベルだなあと改めて感じていまして、そこには「感性」が大きく関係しているように思います。

機械やテクノロジーの発展は素晴らしい事ですが、それだけではプログラミングされコントロールされた以外の事を生み出すのは難しいような気がします。

先日も別事業・T-FOOT(一本歯下駄など)のメンバーで、私の友人でランニングコーチでもある川村氏から「人間が”機械化”している」という話をお聞きしました。

私自身も、習慣になってきた月200km程のランニングを通して、自分の身体の声を聞くように努力していたら、どんどん感性が磨かれていくのを感じています。運動・仕事・趣味・音楽などなんでも良いですが、「感性を磨く」という事は人が人としてあるために、これからもっと重要になっていくのではないかと感じています。

今年も本当に多くの方々にお世話になりました。来年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社小林老舗・7代目・小林雅弘